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大切なものは目に見えない

こんにちは、奈良のロケーションフォトBridal-Soraの竹中です。台風も無事に去り、また暑い(台風前よりも奈良は暑いかも)日が続いています。お盆休みも終盤、毎年この時期になると思い出されるお客様がいらっしゃいます。

写真館の仕事とは

僕はフォトグラファーとしてだけでなく、2軒の写真館を経営する立場でもあります。写真館の仕事において、多くの場合幸せなお客様を撮影しています。結婚、出産、お子様の成長 など、家族の成長の記録やお祝い事、ポジティブな瞬間を記録に残すのが主な仕事だからです。

癌で余命幾ばくも無い母親にひと目花嫁姿を見せたい

あるとき、ご結婚が決まったというお嫁さんがご来店されました。「実は…。」と浮かない表情。「母親が末期癌でずっと入院しています。結婚式に参加することはおろか、余命幾許も無い状態なんです。その母親にひと目私の花嫁姿を見せてあげたい。一緒に写真を残したい。ブライダルそらさんで、なんとか撮影してもらえないでしょうか?」というお話しでした。

私たち写真館には衣装もあるし、美容師もいます。もちろん日本全国出張可能です。「病院に行って撮影しよう。」僕は二つ返事で引き受けました。お母さんが入院されていた病院も事情を話すと気持ちよく撮影許可を出してくださり、それどころかお支度用の個室、広い面会ルームまで提供してくださったんです。

病院で起こった奇跡

さて、撮影当日。朝から美容用具や衣装一式を車でスタジオから病院まで運び、お嫁さんのお支度がはじまりました。ただ、前日から昏睡状態のお母さんの意識が戻りません。待つしかない…。時間ばかりが過ぎていきます。今日はもうダメか…、諦めかけたその時「目が覚められました!」と看護師さんの声。面会ルームにベッドごと移動されてこられたお母さんが一言「綺麗やなあ。」僕たちも他に言葉がでません。

お父さんもがっちり手を握りしめて心を伝えています。

撮影している僕も涙でファインダーが曇ります。

突然、お医者さん、看護師さん達が「おめでとう!」の掛け声と共に「てんとう虫のサンバ」を歌い始めました。昔の披露宴では定番の結婚式ソング。

最後にはお母さんもこの表情。本当に嬉しかったんだと思います。

もちろん、病院内でのことなので、普段の奈良公園でのロケーションフォトのような綺麗な写真を残せたわけではありません。ただ今回撮影をした数時間は、このお客様にとってかけがえのない貴重なもの。それを一緒に作り上げることができた、その事実が僕たち写真館にとってとても大切だと思うんです。常日頃、「自分達にしかできないことは何だろうか?」と考えて仕事をしていますが、「出来るだろう」と思ってることでも実際に「行動する」のは難しい。

仕事に対する情熱

そこに「やり遂げたい」「お客様の役に立ちたい」という情熱を持てるのか。今回は写真館という仕事に携わる私達ならではの仕事だったんだ、と心から思えたんです。仕事に対する気持ちや心、そんな見えないものが自分たちの人生においても大切なんだとあらためて感じましたし、日々の仕事の中でこの情熱を忘れないように持ち続けることを再確認しました。

 

奈良でロケーションフォトの前撮りや後撮り、フォトウェディングはBridal-Sora