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車好きから見たLa La Land

こんにちは、奈良のソトグラファー竹中 岩仁.です。
随分お久しぶりになってしまいましたが、いかがお過ごしでしょうか?
僕は3月忙しく動き回ってて、来週からまた春の桜ロケーシーズンに入ります。
そんな中、話題の映画「ラ ラ ランド」を見てきました。

映画の詳細はあちこちで書かれているのでさておき、僕がすっごく気になったのが、エマストーン演じるミアの愛車がプリウスだったってこと。冒頭のミュージカルシーン、ダウンタウンがチラっと見えてたのでおそらく105と110のジャンクションの辺りだと思うのですが、そこで女優になる夢を追いかけるミアがプリウスの中で台詞を練習して覚えてるシーンから映画が始まります。後につきあうことになるセバスチャンは時代遅れのジャズ好きらしく、Buickの古いコンバーチブルでカセットテープでジャズを聴いているというわかりやすい設定。女優を目指してるアメリカの映画なんだからもっと違う車に乗ったらいいのに、よりによってなぜプリウス?と僕の頭の中で疑問に思ってました。

ここでアメリカ、特に南カリフォルニア、ロサンゼルス近郊の車事情を。この辺りでは大気汚染がひどくて、カリフォルニアの州法の関係で車のスモッグチェックがとっても厳しい地域なんです。ぼくの車も毎年ライセンスプレートを更新するのにスモッグチェクを受けてました。それにパスしないと更新できない。無更新で乗ってるとすぐにポリスに捕まります。それから、交通渋滞がひどくて、片側5車線もあるフリーウェイが朝晩まったく動きません。公共の交通網が整備されてないので(土地が広くてまかなえない)一家に数台車があるの普通なんです。

で、フリーウェイの左端2車線くらいを、カープールといって複数人が1台にのった車のみが通行できるレーンがあります。他のレーンが混んでてもスイスイ進めるのがメリット。なるべく車の数を減らして大気汚染を減らしたいという理由で作られたカープールレーンなんですが、結構前から排気ガス汚染の少ない車もこのレーンを通行できる特例があります。その特例が出たころはそういった類の車はプリウス位しかなくって、それによってプリウス大ヒットにつながったんです。カリフォルニアンは環境に優しい人々のイメージありますが、単に混んだ道を楽に走りたいだけだったとも言えますね。今ではもっと厳しくなってハイブリットはダメで電気自動車しかこの特例が認められないのですが、この特例でプリウスがじゃんじゃん増えてLA近郊でメジャーな車になった感じはします。

で、映画にもどって、ミアとセバスチャンがパーティーに行った帰りのシーン。バレットパーキングに止めてる自分のプリウスのキーを取ってほしいとセバスチャンにお願いするミア。セバスチャンがバレットの受付にあるキーを見るとプリウスのキーがズラっと並んでいて、どれがミアのものなのかわからない、、、。このシーンでピンと来ました。やっとわかりました、どうしてミアがプリウスに乗ってるのか!

LA辺りで、女優を目指すミアのような女の子はプリウス並みに沢山いるってこと。確かにハリウッドの辺り、サンセットの近くでちょっといいレストランでご飯食べてると見たことある俳優さんいたりとか、撮影してたりとかロサンゼルスでは映画産業が当たり前の光景なんです。それに憧れる女優のタマゴも本当に沢山いるんですよね。スタジオセットに中にあるコーヒービーンでバイトをしてるミア。日々、将来への不安な気持ちを抱えて生活しているその心境に、自分が学生だったころを重ねてすごく共感できました。写真の勉強しながら僕も思ってました、、、「これで本当にメシ喰っていけるんかなあ、、、?」って。

そんな自分の若かりし頃の感情や見慣れたロサンゼルスの光景を照らし合わせて、ああなつかしいなあと感じながら映画を楽しみました。エンドロールに使われてるフォントも古き良きハリウッドって感じで郷愁感を漂わせてます。惜しくもアカデミー賞の作品賞を逃しましたが、素晴らしい映画です。ミュージカルに興味なくても楽しめるので是非ご鑑賞ください。